どうも皆さん。突然ですがブタさんはお好きですか?私は大好きです。チャーシュー美味しいですよね。食べすぎてこっちまでブタさんになっちゃいそうですね。ブヒー。
しかし豚肉は腹下しのメッカといえるほどに食中毒の温床です。生で食べれば命の保証はないでしょう。
またブタは元イノシシというだけあって強靭なフィジカルを持ち、一度怒らせてしまえば人間程度ならあっという間に撲殺し、そして貪り食ってしまうことでしょう。
そんな実は恐ろしいブタさんですが、幻想の世界でもやはりヤバイ系な怪物として扱われることが多いです。
今日はそんな魅力的で怪物的なブタさんたちを、4部構成に渡ってご紹介したいと思います。それではレッツブヒー。
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妖しくて怪しいブタさんです。
「なんかようかい」なんてダジャレもありますが、妖怪が人間に用があるときは大抵こちらの身にトンでもない危機が迫っているということです。
賁豚とは茨木二介という人が永禄11年(西暦1568年)に記した『針聞書』という東洋医学書にて紹介されている寄生虫です。
ブタなのに虫とはこれいかに? と思うかもしれませんが、この本に出てくる寄生虫はもはや虫かどうかも怪しい化け物だらけで見ていて楽しいです。
鍼灸や漢方において、腹の辺りからナニかがグワーッとこみ上げパニックを起こす…こういった症状をブタが全力疾走していることに例えて「奔豚気」と呼びました。
恐らくその奔豚気を妖怪として表したものがこの賁豚です。
またの名を腎積といい、ブタっぽい顔と体に虫っぽい脚が4本、鼻からはヒゲもしくは触手が2本生えています。
臍の下を中心に上下に動き回っており、この虫に寄生されている人は肌が浅黒くなり、塩辛い味を好み口が臭くなるとされます。
実際腎臓が悪くなると、こういった症状が出てくるそうです。
カタキラウワとは、一部でムド豚としても有名な鹿児島県奄美大島に伝わる妖怪です。漢字で書くと「片耳豚」となり、その名の通り耳が片方欠損しています。
この妖怪は人間を見かけると、しきりに股の下をくぐろうとしてきます。
くぐられたら最後魂を抜かれ死ぬか、死ぬまではなくても性器を破壊され、男としては死にます。性器末です。
この性器損傷が魔法的なものなのか、それとも普通に物理的に破壊されるのかはちょっと分かりませんでした(イノシシの牙の位置は丁度人間の股間ぐらいの高さにあり、しかもしゃくり上げてくるので…タマタマがヒュンってなりますね)。
対処法として股をクロスすればくぐられずに済みますが、そのままジッとしてても居なくなってくれる保証はないのでしょうから足を交差させながら移動しなければなりません。パリコレみたいですね。慣れないと歩き辛そうです。
また冒頭にも書いた通りブタは非常にフィジカルの強い動物ですので、無理矢理脚をこじ開け睾丸を吹き飛ばすくらい造作もなさそうです。
前からだけでなく後ろから攻められるパターンもあるでしょう。
良くて痔、最悪の場合直腸破裂ですかね。こいつが現れそうな場所をうろつかないのが最善でしょう。
あと男性より女性の方が狙われやすい傾向があるそうです。さては変態だな?
カタキラウワと類似する存在にはミンキラウワ(耳無豚)、ムィティチゴロ(片目豚)、ジーワーワ(地豚)、ウヮーグヮーマジムン(ウワーッ!グワーッ!)などがいます。
こいつらも股下をくぐりぬけようとする変態的性欲の持ち主なので注意が必要です。
并封(ヘイホウ)とは古代中国の地理書『山海経』に記されるブタのような生物です。ヘイヘイホー。体の前後に頭が付いており、色は黒いといいます。
また山海経には「屏蓬」と呼ばれる(読み方も同じくヘイホウ)左右に首がある獣が紹介されていますが、文学者・郭璞によるとこれらは同一の存在であるとされています。
しかし前後に首があるのと左右に首があるのは全然違ので、名前が一緒なだけの全く違う生物であるとの異説もあります。ヘイホーレッツゴー。
完全なブタとは少し違うのですが、猪突猛進という言葉がピッタリなのでご紹介します。
猪豚蛇(チョトンダ)とはその名の通り、イノシシとブタ、そしてヘビを合わせたような生物です(イノシシとブタは一緒じゃねってツッコミは野暮)。
見た目は蛇に似ていますが4本の足を持ち、その体は毛に覆われ杵のごとくズングリムックリしています。
ブタのような鳴き声を発し、猛烈な勢いで走り回り獲物に噛みつきます。その毒の威力は凄まじく人間なら一瞬にして死んでしまうほどです。
宋の時代、軍の訓練所に突如として現れ、多くの兵士が噛まれて命を落としました。
そこで成俊という呪術師を呼びよせたところ「こいつぁチョトンダっちゅう蛇やな。噛まれたら即死するから気をつけなはれや」とその正体を看破しました。
成俊は蛇だけを殺す呪術を施します。「破ぁ!!」 するとどうでしょう。チョトンダの体は血の塊と成り果て、死んでしまったのです。
未確認生物なブタさんです。UMAなのにBUTAとはこれいかに。
ホグフィッシュとは硬骨魚綱スズキ目ベラ亜目ベラ科タキベラ属のお魚さんの総称ですがそれとは関係がなく、コンゴに生息すると伝えられるブタの頭と魚の体を持つ合成獣です。
またの名をシーホグ、アムビゼ・アングロ、ンビジ・ア・ングルなどといいます。出世魚でしょうかね。ブリやハマチみたいで美味しそうですね。
実際最高級のブタ肉の味がするそうで「ブタは世界中で飼育されているのだ。ゆえにホグフィッシュだって世界中の海で泳いでるに違いねぇや」とコンゴの漁師たちはこぞってこの魚を追い求めたといいます。
似たような存在として、フランスの外科医アンブロワーズ・パレが記した『Des Monstres et Prodiges』や冒険家アンドレ・テヴェの『La cosmographie universelle』などで言及されるホーガ(オーガ)という魚がいます。
これはメキシコに潜む巨大な怪魚で、顔と耳がブタのようだといいます。
性格は獰猛で人間も襲って食ってしまう上に、体色を自由に変化させることができるといいます。そしてやはりその味は美味とのことです。
ピッグマンとは近年アメリカなどに出没するようになった怪人です。
ブタの顔に人間の体というあまりにもそのまんまな姿を持ち、田舎の道路を車で走っていると全速力で追いかけてくるという奇行をとります。
実はブタによく似ているだけの普通の人間だという説もありますが、変態なのは間違いないでしょう。また、日本でも目撃されているそうですが詳細は不明です。
ランスターとはオーストリアに棲むといわれる怪物です。
ブタの顔を持ちますが胴体が2つあり、そして背中からさらに2本の足が生えている異形の姿を持ちます。口臭は腐乱死体そのもので、死体を常食とするスカベンジャーです。
非常に厄介な害獣であり、人間の墓を暴いて遺骨をボリボリと貪り、瀕死の人間がいると嗅ぎつけてその家の周りを徘徊し死ぬのを待つというおぞましい習性を持ちます。
怪奇作家・佐藤有文氏の『世界妖怪図鑑』などで挿絵とともに紹介されていますが、この挿絵は画家アルブレヒト・デューラー作の『Die wunderbare Sau von Landser』という版画で奇形のブタについて描かれたものです。
要するに、既存の版画を基にでっち上げられた創作なのです。
神話に登場するブタさんです。ついにブタいは神の世界へ…!
パイアとはギリシャ神話に登場する巨大なイノシシの姿の怪物です。この牝イノシシは、蛇の女神「エキドナ」とギリシア神話最強の生物「テュポーン」の間に生まれました。
コリントス・イストモス地峡のクロミュオーンという地において、作物や人間を食い荒らし暴れまわっていたパイアでしたが、最後はミノタウロス退治で有名な英雄「テセウス」にブチ殺されるという末路を迎えました。
エリュマントスの猪とはパイアと同じくギリシャ神話に登場する巨大なイノシシです。
狩猟の女神「アルテミス」は美しい女神でしたが大変にキレやすく、自分への信仰を怠る人間の元へ凶暴なイノシシを送り込むことが度々あり、エリュマントスの猪もそういった中の1匹でした。
アルカディア地方・エリュマントス山に現れたこのイノシシは周辺地域を荒らしまわり、人々を恐怖のどん底へ落としました。
ここで十二の功業という罰ゲームを決行中だった、皆さんご存知の英雄「ヘラクレス」さんですが、その功業の一つがこのエリュマントスの猪を生け捕りにするというものでした。
途中ヘラクレスさんはケンタウロスの皆さんをウッカリ皆殺しにしたりしましたが、割と余裕しゃくしゃくでこのイノシシの生け捕りに成功します。
そんでもってクライアントであるエウリュステウス王の下に「獲ったどー!」ってな感じで持っていきますが、エウリュステウス王はイノシシ(もしくはヘラクレスの異常すぎる超人的フィジカルに)にビビリまくって甕の中に隠れてしまったそうです。
ヘンウェンとはウェールズ神話に登場するメス豚で、その名は「老白」を意味します。豊穣をもたらす神秘的なブタでしたが、同時に災厄も生み出す二面性を持つブタでした。
いつの間にやら子を孕んでいましたが、出産すればブリテン島は不幸のどん底に落ちる、との託宣を受けた人々によって追われ、海に逃げ込みました。
泳いで泳いでメス豚はウェールズの南端に上陸、そのまま北上していきます。そして移動しながら、数々の作物や害獣をもたらしました。
ある時は小麦とミツバチを、ある時は狼と鷲を。そして遂に孕んでいた子猫を出産しました。災いを成すといわれた忌み子です。
子猫は速攻で海に捨てられましたが、しぶとく生き延びたのちに怪猫「キャスパリーグ」としてブリテン島を恐怖のどん底に落とすことになるのです(のちに円卓の騎士であるケイ卿やアーサー王と戦い、かなり苦戦させることに成功します。まさに最強ニャンコ)。
もはや神のごときブタさんです。いわゆるゴッド。まさしくブッタ。
猪八戒とは言うまでもなく超有名小説『西遊記』に登場する超有名なブタのヒーローです。今日でも神様として信仰され親しまれています。
元々は天界で水軍を率いる偉い神様で、豚要素はまだありませんでした。
とある宴会でベロベロに酔っぱらった挙句、月の女神「嫦娥」に不埒なことをしようとしたためハンマーで2000回シバかれました。
そして天界を追放され地上に落とされます。その際に誤ってメス豚の胎内に入ってしまい、黒豚の妖怪に生まれ変わってしまいました。
自暴自棄になった彼は人を喰らう悪しき妖怪として君臨していましたが、ある時うっかり観音様に襲い掛かって返り討ちに合います。
慈悲を乞う彼に観音様は「猪悟能」という名前を授け、坊さんの弟子になることを勧めました。改心した彼は精進料理だけ食べることを決心します。
そしてなんやかんやあって孫悟空や三蔵法師と出会い、「猪八戒」という名を貰いました。こうして伝説のパーティーが結成されるのです(沙悟浄はもうちょい後)。
うっかり八兵衛的なコメディーリリーフ扱いされることも多い猪八戒ですが、元水軍だけあって戦闘はお手の物(水中戦が得意で沙悟浄と互角)。
知恵もよく回り、その有能さはまさしく縁の下の力持ちといったところでしょう。
カマプアアとはハワイ神話に登場する海と農業の神です。普段は超絶イケメンなのですが、ひとたびブチ切れると正体である八つ目の豚の姿になって破壊の限りを尽くすといいます。
また「ムフムヌクヌクアプアア」に変身する能力があります。「ムフムヌクヌクアプアア」とはタスキモンガラという魚のハワイでの呼び名で「豚のみたいに鳴く角張った魚」という意味があります。
その名の通りブーブーと鳴き声を発し、このことからカマプアアと関連付けられたのかも知れませんね。ムフムヌクヌクアプアア…声に出して読みたいハワイ語です。
セトとは超有名なエジプトの神です。
ブタじゃないじゃん?って思うかもしれませんが、実はセトの顔はジャッカルではなくツチブタという説があるのです(ぶっちゃけツチブタはブタとは特に全然関係のない別種の生き物なのですが…まあブタっぽいんで今回は特別に)。
砂漠の嵐を体現した荒ぶる神であり、邪悪な蛇アポピスをシバきあげる守護者としての役割を持ちます。
ですが時代の流れとともに粗暴な一面が強調されていき、神話では完全な悪役にされたりもしました。まあ古代エジプトは非常に長い歴史を持ち、その時代の偉い人によって奉る神様もコロコロ代わるのでセト信仰が復権することもありましたが。
あとレタスと密接な関係があります。古代エジプトではレタスは精力増強剤・媚薬として重宝されていました。
我々の知るレタスとは違い、茎から乳白色の汁が出るエロエロなレタスだったそうです。この白濁液がSemenを連想させたのでしょう。さすがにネバネバドロドロしてたかどうかまでは定かではありませんが。
で、セトさんはこのレタスをやたら食ってました。詳細はR18なので省きますが、まあ大変なことになります。最終的に玉無しになります。
ですが元々EDだったのではという説もあります。一心不乱にレタスを食いまくっていたのは、男としてのプライド♂を奮い立たせたいがためだったのかも知れません…。
いかがだったでしょうか。今回は数多くの幻想ブタを紹介しました。ですがまだまだ存在すると思います。我々の知らない未知なるブタさんたちが。
まだ見ぬブタさんを求めて、本日はウインナーソーセージで乾杯と洒落こもうじゃありませんか。濃厚なうま味にホグホグ顔ですね。おっとっとブタないでくださいね。
それではまた会いましょう。ヒーブー(see youをブタっぽく言ったつもり)。
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