うつ病や適応障害、自律神経失調症などメンタルの不調で限界が来ている、あるいは休職されている方にとって、「今後の仕事をどうしていくか?」は非常に悩ましい問題かと思います。
今、休職されている方も、今は仕事のことを忘れられてもいつかは社会復帰するために何が必要か、考えなくてはなりません。
一般的に「まずはキャリアのことを考えないでまずは休んで」「病んでいる時に正常な判断はできない」など、いろいろなアドバイスがあり、何を参考にしたらよいのかわからないと思います。
そこで、本記事ではかつて適応障害で4か月休職した経験のある筆者の体験談をもとに、転職の体験談とメンタル不調で悩まれている方のアドバイスをしていきたいと思います。
この記事で、一人でも多くのメンタル不調に悩まされている方のキャリア形成の一助となりますように…。
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まず休職中、メンタル不調で悩まされている方にお伝えしたいことは「最初はとにかく休んで!」ということです。
よく「病んでいる時に正常な判断は難しく、目先のことしか考えられないでいがち。だから、すぐに辞めるのではなくまずは休職して職場復帰できるようにしましょう」というアドバイスを自治体の自殺防止の動画で耳にします。
これは、私の考えでは半分正解で、半分誤りだと思います。
正直このアドバイスは安易に「転職しよう」と伝えると、民間企業から猛反発を喰らう(転職者が増えるのは企業にとってイメージが悪いうえ、人事部の負荷も増える)ため、あくまでも「企業に留まらせる」上でアドバイスしている印象を受けます。
ですので、この部分に関しては誤っていると筆者は考えます。しかしながら「正常な判断ができない」というのはまた一つの事実だと思います。
大抵の場合、休んですぐに転職活動を行うと、現在の環境から逃げることに重きを置きがちです。それは会社の話だけではなく、現職の業種・職種から逃げることも指します。
まずは1週間でいいので、仕事を忘れていったん休むことを考えましょう。それでも休み方がわからない人は、まずは「何かやることのスタートを決める」ことをやってみてください。
たとえば休職期間中に大好きなRPGをクリアすることを目標にするのではなく、RPGをゲームスタートすることを目標にする、といった感じです。
ここからは私の体験談を話していきたいと思います。
もともとは製造業の営業職として勤務していましたが、過労が原因で適応障害を患ってしまい、休職を4か月していました。
最初は異動も含めて会社に留まることも考えましたが、やはり同僚に会うと気まずさを感じてしまう等もあり、転職をすることに決めました。
私は転職活動を開始してから内定まで、およそ2か月かかりました。
使用した媒体もさまざまで、dodaのような転職サイトやビズリーチのようなスカウティングサイト、エン転職のような転職エージェントも使用しました。結論として、最終的に内定を承諾したのは転職エージェント経由の会社です。
受けた会社の方向性としては二つ。まずは今までの経験を活かせる仕事を一つ、製造業の営業経験や、システム営業だったのでIT系の経験もありました。
そしてもう一つは病んだ経験から従業員のメンタルヘルスに関わる仕事がしたいと思い、そのような企業(EAPサービスという)を受けました。
転職理由はやはり、正直に休職したからと記載してはあまり企業の反応はよくありません。
そこで、私は休職した原因である「過労」から、「ワークライフバランスの実現」を転職のテーマにして、面接でも転職理由の一つとしてこれを説明していました。
とはいえ、これだけだと楽したいだけだと思われるため、さらにもう一つ転職理由を書き足しました。
たとえばIT系を受けたときは「今の経験を活かしてほかの業界相手の営業もやりたい(筆者の前職は、ある業界に特化した製品を販売していた)」、メンタルヘルスの企業を受けた際には「激務で倒れてしまった同僚をみて、従業員の健康管理に携わりたいと強く思った」といった形にして転職理由を説明しました。
ワークライフバランス実現に関しては、素直に説明して悪い反応をした企業は無かったと記憶しています。たいてい、残業時間等を話すと「大変でしたね〜」と同情してくれることが多かったです。
メンタルヘルス関係の企業を受けた際に、質問事項に「既往歴」を書かされました。さすがにここで嘘をつくのはまずいと思い、正直に記載をしました。
結果として、その企業は落ちたのですが、そのことがエージェントにバレた瞬間から、急に態度が変わりました。あらゆる口実をつけて、休職した事実を履歴書などに書かせようとしたのです。
最初は強く抗いましたが、担当者の上司までも電話し説得させようとし、渋々休職について記載せざるを得ませんでした。
結局、そこのエージェント経由での紹介の企業は急にうまくいかずかなりギクシャクし、喧嘩になることもあったため、相手にするのを止めました。
まだまだ、メンタル不調に対する理解というのは世間に足りていないんだなという印象を強く受けたことを覚えています。
そのような辛いこともありましたが、最終的には2社内定をもらいました。
一つは経験が活かせそうなIT系、もう一つはメンタルヘルスに関わる仕事でした。なお、どちらも休職含め健康面の質問はされませんでした。
メンタルヘルスの会社のほうが給与が高く、やりたいことだった一方、福利厚生が手厚く、経験も活かせそうで長く働けそうなIT系のどちらかにするか非常に悩みました。
ココナラ等でキャリアコンサルタントの方にも相談をし、結局長く働けそうなIT系に入社を決めました。
現在も忙しい時はあるものの、周りのサポートが手厚いおかげで楽しく仕事ができています。
ここでは、体験談をもとにいくつかの項目に分けて記載したいと思います。
これは、はっきりとNOといえます。わざわざネガティブな情報を面接先やエージェントなどに言う必要はありません。転職後にわざわざ言う必要すらないでしょう。
悪い言い方ですが、彼らはネガティブな要素を見つけるとそれを口実にあなたの市場価値を下げようとしてきます。
しかし、本記事を読んでくださっている方は真面目な方が多いので「バレたら大丈夫なの?」「転職しても嘘をつき続けなければいけないのが辛い」と思う方も多いと思います。
しかし、これも心配しないでください。あなたは何の嘘もついていません。言っていないだけです。
また、法律的にも正社員としての雇用が決まった場合、相当のことがない限り解雇することはできない法律になっています。内定が出た時点で、ある程度の法的効力があるらしいです。
ただし、面接やアンケートなどで病気休職を聞かれた際は正直に言うしかありません。(あるいは適当に言っておいて後ほど辞退をする方法もアリ)その場合は縁がなかったと思って次の会社を受けましょう。
それでもバレるのが心配という方は、1月に転職をする(12月に退職)という方法をオススメします。休職がバレるリスクの一つである確定申告で、必要な書類である住民税納付通知書を出す必要がないからです。
筆者も最初提出を求められてびっくりしましたが、後に恐る恐る出しにいったら提出不要と言われて安心したことがあります。
メンタル不調で休職した方には、何かしら病んでしまった原因があるはずです。まずはここに目を向けましょう。
エンジャパン社の資料によれば、本音の退職理由で多い方から順に、人間関係、給与、社風や風土があわなかったなどの原因が挙げられています。
残業や休日出勤など拘束時間が長かったのも原因の一つに挙げられています。それぞれを病んだ原因の一つとして挙げてみましょう。
まず人間関係。何かしらのハラスメントを受けたというだけでなく、周りと気が合わなかったというだけでも病む原因になります。
こればかりは社員個人の性格の問題もあるので、100%どうにかなることではありませんが、その会社の雰囲気などはなんとなく推測できるはずです。
会社の口コミサイトや業界の雰囲気(〇〇業界あるあるといったツイートを見る)で、大体の雰囲気は推測できるのではないでしょうか。これは社風が合わないことも同様です。
そして給与。給与で病むということは考えにくいかもしれませんが、これも会社のリサーチでなんとかなります。長期残業に関しても、これも口コミサイトや業界特性で見られるのでオススメです。
いずれにしても、自己分析と企業研究をしっかりやること、これが転職の成功に繋がります。
私自身の体験談を紹介しましたが、参考になりましたか?
休職をしていると、その時は休まるとはいえ、いつかはまた社会復帰をしないといけないですから、心のどこかで焦りも生じてくるかと思います。
もちろんしっかり休んでから転職活動を行うのは前提として、また社会復帰へ向けて動き出したいとなったら、まずは慌てずに自分を振り返って、自分に合う会社を探していきましょう。
慌てて適当な会社へ転職してしまえば、それこそまたブラック企業に転職してまた病んでしまう…の繰り返しになってしまう可能性も高いです。
あなたに合った職場は必ず見つかります。なので、安心してください。
もちろん、自分にフィットするのが他の企業ではなく、今の企業であれば、戻るのもアリだと思います。
ただ、腫れ物扱いされる可能性も高いので、その点の覚悟をすることは必要です。もちろん腫れ物扱いということは、メンタル面に配慮してくれやすくなるという考え方もありますが…。
しかし、いずれにしても一度メンタル不調で休職したからと言って、人生への絶望を感じる必要はまったくありません。
私のように自分に合った職場に転職できるかもしれませんし、他にもフリーランスや在宅ワークなど働き方はいろいろあります。
まずは自分を見直して、さまざまな新しい道へ行く準備を進めてみてくださいね。
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