「会社から給与計算の仕事をするように言われたけど、お金のことだしちゃんとできるか心配...。」
「細かい法律やルールを覚えたりするのは自信がない...。」
そう感じている方は多いかと思います。
私もはじめて給与計算のお仕事をすることになったときは、とても心配だったし緊張しました。
そんな不安や心配は、少しでも取り除いてからお仕事を始めたいですよね。
そこで、アウトソーシングの会社で20,000人の方の給与計算を担当した経験から、給与計算のお仕事の内容や必要な知識、できるようになることのメリットをご紹介します。
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給与計算をするだけなら、それほど難しくはありません。
人がすべて手で計算をする場合は、タイムカードや出勤簿の勤怠データと呼ばれるものを従業員の数だけ集計して、給与を計算する必要がありますが、多くの会社はシステムを導入しています。
給与システムや勤怠システムを導入している場合、システムが自動で勤怠を集計し、給与計算を行います。
手計算の場合もシステムを使う場合も、計算の流れはほとんど同じです。
簡単に流れをご紹介します。
タイムカードや出勤簿を元に、基本給、残業代、通勤手当など、その他の手当などをすべて足したものが総支給額です。
原則として、給与から何かを控除することは禁止されています。
しかし、例外として認められているものもあります。社会保険料や雇用保険料、所得税、住民税などの法定控除と呼ばれるものです。
法定控除に当てはまらない「組合費」や「昼食代」などが給与から天引きされている、という方も多くいらっしゃると思います。
この場合、会社と労働者が「給与から組合費などを控除しても良いですよ。」という協定を結んでいます。
これを協定控除と言います。この協定なしに法定控除以外のものを天引きしてしまうと、基本的には違法となってしまいます。
@で計算した総支給額からAで計算した控除額を引いたものが差引支給額。実際に従業員の口座に振り込まれるのはこの額です。
おおまかな流れは、たったのこれだけです。
これらを具体的なスケジュールに落とし込んでみます。
出勤簿やタイムカードに4月10日に支払う給与の元となるデータがすべて記入された状態となります。
1. 勤怠の確認
まずはタイムカードや出勤簿を確認します。
この時点で、タイムカードや出勤簿の打ち忘れや記入ミスなどがないかを確認し、あれば修正をします。
2. 総支給額の計算
3. 控除額の計算
4. 差し引き支給額の計算
5. 給与確定
支払い手続きを行います。
銀行振り込みの場合、銀行に振込をする従業員や口座を伝え、振込依頼を行います。
締め切り日は銀行によって異なりますが、4~5営業日前までに振込データを求められることが多いです。
給与支給日。
振込の場合、銀行が従業員の口座に入金を行います。
この一連の流れを毎月同じように繰り返していくのが、給与計算のお仕事です。
計算だけなら、単純な掛け算や足し算、引き算なのでそれほど難しくはありません。
しかし給与計算のお仕事をしながら、従業員からの問い合わせを受ける等の付随業務があれば、大変になってきます。
問い合わせでは給与明細に項目がある内容ならなんでも聞かれます。
基本給や残業代、通勤手当などの計算の仕方や、どういう場合に支払われるのか、社会保険や雇用保険を詳しく教えてほしいとか、扶養の範囲内で働きたいなどの相談を受けることもあります。
会社のルールはもちろん、労働基準法、健康保険法など(いわゆる社会保険労務士六法と呼ばれるものです)の知識が最低限ないと、正確に答えられないような問い合わせがあることもあります。
お金が絡んでいるので、しっかり答えられないと、「本当にちゃんとお給料を払ってくれてるの?」と従業員が不信感を抱いてしまい、トラブルに発展してしまうこともあります。
会社の業務分担にもよりますが、従業員の入社や退職の管理、雇用保険や社会保険の加入手続きを行う場合もあります。
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雇用保険や健康保険、厚生年金保険など、よく耳にはするけれど、「どうして加入するの?そもそも何のためにあるの?」と疑問に思うことってありますよね。
そういったものが普段、お仕事で扱うものになってくるので、自然と知識が身に着いていきます。中にはその知識を生かして、社会保険労務士の資格取得を目指す方もいらっしゃいます。
取得できれば、資格手当のある会社では給与のアップも見込めますよね。
また、自分の給料が正しく計算されているかどうかが判断できるようになります。
給与の額がおかしいかもしれないと思ったとき、いきなり「間違っていませんか?」と聞くのは勇気がいりますよね。
給与の計算ができるようになれば、自分で労働の成果を正しく受け取れているかがわかるようになります。
他にも、もし今の会社を辞めて、別の会社で働く必要が出てきたとき、給与を払わない会社はよっぽどのブラック会社を除けばないはずなので、どこに行っても通用する能力を身に着けることができます。
給与計算をするだけならそれほど大変ではありませんが、それに付随する業務や問い合わせ対応を任されると大変になってきます。
網羅する必要はありませんが、最低限の社会保険労務士六法と呼ばれる法律の知識があると役に立ちます。
細かいルールや聞きなれない単語がたくさん出てきて、初めはとっつきにくいと思うかもしれませんが、一度覚えてしまえばルールに従って進めていけるお仕事です。
どこに行っても役に立つ能力なので、興味があったり、覚えやすそうなところから、少しずつ挑戦していってみてください。
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